新OS NEXUS No.11 最小侵襲脊椎外科 発刊

この度,最小侵襲脊椎治療(Minimally Invasive Spinal Treatment;MIST)をテーマに,新OS NEXUS No.11 最小侵襲脊椎外科[Web動画付]をメジカルビュー社より8月3日出版します。本書は,整形外科専門医を目指す専攻医や脊椎脊髄外科専門医を対象とする手術手技指南書です。術者や助手のスキルやTips and Pitfallをふんだんに盛り込みました。特に写真やイラストを多用しました。またストリーミング配信動画をWebでリンクし分かりやすい紙面作りに心がけました。

 低侵襲治療の分野は日進月歩です。頚椎から胸椎そして腰椎骨盤の変性,外傷,感染,腫瘍,脆弱骨折などあらゆる病態の手技が低侵襲化されています。頚椎から腰椎の除圧や固定、そして矯正のMIST手技を網羅しました。また脊椎の各種病態、脆弱骨折や腫瘍や外傷のスキルも掲載しました。脊椎手術支援システムロボットナビゲーションの低侵襲手術への応用できます。脊髄刺激療法(SCS)や腰椎椎間板酵素注入療法も、ひとつの治療オプションです。経仙骨脊柱管形成術(TSCP)も新しい手技のひとつです。MISTは観血的手技だけでなく、多くの低侵襲の治療を含む概念です。今後、再生医療も視野に入ると思います。

 手術のスキルは手術時間と出血量や合併症で評価されます。MISTは患者に優しいだけでなく,医療者にも優しくすべきであると考えます。もちろん患者は実験台でなく、一例の失敗も許されません。多くの手術を見学したり、助手に付いたりして、カダバーセミナーなどのトレーニングを行い一人前になります。ぜひ積極的に自己研鑽をして頂きたいと思います。最小侵襲脊椎治療は簡単な手技ではありませんが,手術は修練医なら誰でもできなければ標準手技としては認められません。神の手しかできない手術は普及しませんし医療安全的に不適です。この本は各手技が安全に行え,より良い成績となるTipsを盛りだくさんに入れました。この本が脊椎脊髄外科初心者だけでなく、ベテランの先生にも今一度ご覧頂き、あらたな気づきがあると嬉しいです。

企画編集 佐藤公治
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院 整形外科・脊椎脊髄外科