第3回 日本MISt学会
               名古屋第二赤十字病院整形外科 安藤智洋(昭和60年卒)

 第3回日本MISt学会を平成24年6月30日(土)にキャッスルプラザ名古屋にて主催させていただきましたので報告します。みなさんMIStとは何のことだろうと思われることと思います。MIStとはMinimally Invasive spine Stabilizationの略で本会会長佐藤公治先生が発案された造語です。低侵襲脊椎安定手術に関する研究会で、まだ第3回であることからもお分かりの通り、発足して間もない研究会です。Stabilizationは除圧や固定だけでなく、制動することによりアライメントや機能の正常化も目指します。整形領域では人工関節手術や外傷でも低侵襲手術が普及してきています。その一つとして低侵襲脊椎安定術への期待も広まりつつあります。しかし、まだ始まったばかりで、低侵襲手術に伴う問題点もあります。特殊な器機の使用、安全で有効な手術手技の開発、術中放射線被ばく低減など様々な問題を、学閥を超えて集まって改善していこうという志から発足した研究会です。佐藤公治先生(S58年卒)はこの研究会発足当時からの中心メンバーで低侵襲脊椎固定術を、日本で広めるため各地に講演に出かけたり、全国から積極的に手術見学を受け入れたりしています。
 今回の研究会は「真のMIStの本音を語ろう」をテーマにしました。全国から74名の脳神経外科も含めた脊椎外科医の参加がありましたが、これは昨年よりもほぼ倍増です。低侵襲脊椎器械を扱う企業も13社が参加し、当日は1会場だったのですが、座りきれないほどでした。研究会は二部構成でおこないました。第一部は13時より17時まで、指定講演と一般演題の発表とその質疑応答です。指定講演は慶応大学の石井賢先生にMIStの工夫、関西医大滝井病院の齋藤貴徳先生にMIStの現況を講演していただきました。一般演題には11演題が集まり、各施設でのMIStでの工夫や新しい器械の使用経験などが報告されました。脊椎外傷に対するMIStの応用、腰仙椎固定術の工夫では会場から様々な質問がありました。低侵襲固定は高齢者への固定術の適応拡大を期待されますが、やはり骨粗しょう症患者には注意が必要です。安全な低侵襲のためのモニタリングシステム、被爆軽減の工夫なども発表されましたが、「本音を語ろう」に沿って、会場、演者からも本音のところが聞かれ出席された先生からは良かったとのお褒めの言葉をいただきました。第二部は17時30分より20時まで、第一部での長時間の活発な討議で疲れた頭を休めつつ、軽く食事やアルコールも入って、各社の器械説明と症例検討を行いました。低侵襲脊椎手術は、まだ始まったばかりですので、手術器械の改良が非常に早く進んでいます。2年くらい前の器械は既に旧型などということもあります。参加された脊椎外科医は、低侵襲固定術を経験した医師だけではありません。これから開始しようという先生もたくさんお見えになり、各低侵襲器械システムを一堂に見ることができ、満足されたのではないでしょうか。各社もこの機会を逃すまいと器械の特徴を懸命にアピールしていました。その後は、症例検討です。やはりまだ、低侵襲手術後の矯正損失症例や、脊椎メタへの多椎間固定へのチャレンジなどが検討されました。症例検討や展示器機でのハンズオンを希望者が行っている横では、各参加者が各地区、各施設での低侵襲固定術の状況を報告しあったり、低侵襲脊椎固定術への思い、また今後のこの研究会の発展についての夢を語り合ったりして、無事に会を終えることができました。運営に携わらせていただいた我々スタッフにも本当に良い刺激、経験となりました。 
 余談ですが、研究会翌日に研究会参加された先生の中で希望された先生と我々スタッフで蒲郡西浦へ行き、マリンパーティーを行いました。参加された先生は10名程度ですが、我々スタッフと合わせて50人くらいが参加しました。あいにくの雨風でヨットには残念ながら乗れませんでしたが、無理やりボートには乗っていただきました。少し寒い思いをされたかもしれません。ボート後はみんなでバーベキューをほおばっていただき、再度全国の先生と親睦を深め、「海でMIStを語る」ことができました。
盛況といってもまだまだ生まれたばかりの研究会です。イベント会社なども入れられず、スタッフだけでの運営でした。患者にも地球にもMinimally Invasive! ネームホルダー再利用しました。名整会から賛助金にて応援していただき大変に大きな力となりましたので、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。